肥満症
食生活の欧米化や移動手段の進歩などに伴い、本邦でも肥満症が増加しています。肥満とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI=体重[kg]/身長[m²])≧25が肥満と定義されます。肥満(BMI≧25)は必ずしも減量が必要とは限りませんが、肥満に起因・関連する健康障害がある、または内臓脂肪蓄積がある場合は、医学的に減量が必要な「肥満症」に該当します。2型糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病、また肝機能障害を伴う脂肪肝などを有する患者さんは高率に肥満症を合併しています。
これまで肥満症に対する有効な治療薬はあまり無いのが実情でしたが、2010年に糖尿病の治療薬として登場したGLP1受容体作動薬の体重減少作用が認められ、2023年に肥満症に対する新たな治療薬が本邦でも保険収載されました。GLP1受容体作動薬は糖尿病薬として血糖値を下げるばかりではなく、抗炎症作用による動脈硬化の抑制やLDLコレステロール値の低下にも寄与するなどの効果があることが分かって来ています。肥満症の改善には食事療法と運動療法が必要でありなことは言うまでもなく、保険診療ではまずは大学病院や基幹病院へ栄養指導を含めて半年間の通院が義務付けられています。ご希望の方は大阪労災病院や大学病院などの専門施設へご紹介させて頂きます。しかしながら、なかなかこの保険診療のハードルは高いため、当院ではご希望の方に自費診療での治療(肥満外来)も提供致します。