循環器内科

完全予約制について

前院長の急逝以来、循環器疾患の診療を継続すべく専門医の確保に努めてまいりましたが、医師不足の影響もあり困難となって参りました。そのため、2024年4月より診療体制を縮小せざるを得なくなりました。
循環器専門外来は木曜日の偶数週のみで、専門医及び院長が専門外来での加療が必要であると判断する患者さんのみ完全予約制とさせて頂きます。
大阪労災病院などの循環器外来で定期通院がある方や軽症心疾患の方であれば、院長や他の担当医でも日常診療は可能です。

心不全

心臓は体の中のポンプとして全身に血液を送り出します。心不全とは『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』と定義されています。様々な原因があり症状の出かたも人それぞれです。

心不全の原因

心不全は様々な病気が原因で生じます。例えば高血圧や、心臓を栄養する血管がつまってしまう心筋梗塞、心臓の部屋を分けている弁に異常が生じる弁膜症、心臓の筋肉に異常が起こる心筋症、拍動が異常となる不整脈、生まれ持っての心臓の病気などです。

心不全の症状

心臓がポンプとして十分な血液を送り出せなくなるため、階段や坂道を上ったときの息切れや全身のだるさが出ます。また水分も貯まりやすいため足のむくみが出たり、体重が増えたりします。ひどい場合は食欲が低下したり、息苦しくて横になれない状態になることもあります。

心不全の治療

心不全の治療は飲み薬での治療が中心となります。患者さんが楽に生活できるよう数種類の薬を組み合わせて調整します。息切れなどの症状がない時にも薬を飲み続ける必要があります。
飲み薬での治療のほか、食事療法(塩分制限)や生活習慣の調整も必要となることがあります。また心筋梗塞など原因がはっきりしている場合にはその原因に対する治療も行うことがあります。

日常で気を付けるべきこと

心不全はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら経過します。そのためほとんど症状がない時を含めて内服薬を続けることが必要となります。他にも食事療法や体調管理が大切です。体調管理としては家庭での血圧や体重の測定が重要となります。

急性心筋梗塞

心臓の表面には心臓の筋肉に酸素や栄養分を送る血管がめぐらされており、冠動脈と言われます。冠動脈には3本の太い枝があります。急性心筋梗塞とはこの冠動脈が急速につまり酸素や栄養がいかなくなることで、一部の心臓の筋肉が死んでしまい心臓の動きが悪くなる病気です。
高血圧、糖尿病、喫煙、高コレステロール血症などをもつ患者さんに多いことが知られています。

正常な冠動脈

心筋梗塞

急性心筋梗塞の症状

突然前胸部が締め付けられたり圧迫される感覚があり、15-20分以上持続することが多いです。時に肩やあごに放散します。冷や汗、吐き気や嘔吐、呼吸困難を伴うこともあります。急性心筋梗塞の場合は一刻も早く診断そして治療を行うことが大切ですので、15分以上続くような胸の苦しさや圧迫感がある場合は我慢せずにすぐに受診しましょう。場合により救急車を呼んだほうがいいこともあります。
また、中にははっきりとした症状を感じない方もいます。

心筋梗塞で起こりうる怖いこと(合併症)

心筋梗塞を起こすといくつかの合併症が生じることがあり、場合により命にかかわります。一つは不整脈で、脈が飛んだり動悸を感じます。場合により意識がなくなることもあります。もう一つは心不全で、心臓の動きが悪くなることで息苦しさが出ます。心破裂は心臓の壁が破裂する合併症で、頻度は低いですが発生すると致命的となります。

心筋梗塞の検査

心筋梗塞の可能性がある患者さんでは最初に心電図で異常がないかを見ます。次に血液検査を行いますが、場合により心エコーやレントゲンなども必要なことがあります。心筋梗塞の疑いがあれば速やかにカテーテル検査を行い冠動脈がつまっていないか検査します。

治療に関して

急性心筋梗塞では速やかに冠動脈のつまりを解除する必要があります。おもにカテーテルでの治療が必要となりますが、合併症がある場合は緊急手術を行う時もあります。その後は飲み薬による治療や心臓リハビリテーションを行ってゆきます。

狭心症

心臓の表面にある血管(冠動脈)がせまくなり血液の流れが悪くなると、階段昇降や坂道を歩くなどの激しい運動をしたときに心臓の筋肉に酸素や栄養がいきわたりにくくなり胸が苦しくなったりします。多くは冠動脈に動脈硬化が生じてプラークと呼ばれるコレステロールなどからなる異常なかたまりによって血管が狭くなることが原因ですが、血管のけいれん(攣縮)によっても起こることがあります。

正常な冠動脈

労作狭心症

安静狭心症

狭心症の症状

階段昇降や坂道を歩くなどの激しい運動をしたときに前胸部が締め付けられたり圧迫される感覚が出ます。また血管がけいれんするタイプの狭心症では明け方などに出ることもあります。多くは安静にしたりニトログリセリンを舌下すると数分で胸の苦しさはなくなりますが、もし15分以上胸の苦しさが続く場合やニトログリセリンが効かない場合には心筋梗塞を生じている可能性もありますのですぐに受診するようにしてください。じっとしている時にも胸が苦しくなる時や、苦しくなる回数が増えてきた時も要注意ですので早めに受診するようにしましょう。

狭心症の検査

狭心症の診断には運動負荷心電図が役立ちます。他にも24時間ホルター心電図が役に立つこともあります。より正確に病気を見つけるためには病院でのCT(コンピュータ断層撮影)検査やRI検査(核医学検査)が必要になり、これらで異常が見つかった時にはカテーテル検査を行って評価を行います。

狭心症の治療

狭心症はまず第一に飲み薬による治療が大切です。血液をさらさらにする薬や血管を広げる薬、心臓の負担をとる薬を使って胸の苦しみを和らげる治療を行います。そしてもう一つの大切な治療がカテーテルによる治療です。せまくなり血液の流れが悪くなった場所はカテーテルで広げることで心臓の血液の流れをよくすることができます。場所によっては手術が必要となることもあります。

発作時の処置

発作時はニトログリセリンなどの舌下錠を使います。5分しても治まらないときはもう1錠使ってください。ただし血圧が下がるおそれもありますので、1回あたり3錠までとしてください。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化が進み足の血管が狭くなったりつまったりすることで足先への血のめぐりが悪くなる病気です。血のめぐりが悪くなると足が冷える、歩いているときに足が痛む・だるくなるなどの症状が出ますが、ひどくなるとじっとしていても足に痛みが出たり傷が治りにくくなったりします。これらの症状がある患者さんは足関節上腕血圧比(ABI)を測定して閉塞性動脈硬化症がないかをチェックすることをお勧めします。
また閉塞性動脈硬化症の患者さんは足の血管だけでなく脳や心臓の血管でも動脈硬化が進んでいることもあり、注意が必要です。

閉塞性動脈硬化症の治療

閉塞性動脈硬化症の治療には飲み薬による治療と血のめぐりをよくする治療があります。血液をさらさらにする薬を飲んだり、この病気のリスクとなる高血圧や糖尿病、高コレステロール血症に対する治療を行います。飲み薬での治療で効果に乏しい場合はカテーテルや手術で足の血のめぐりをよくする治療が必要となります。足に傷ができている場合には速やかに血のめぐりをよくする治療を行う必要がありますので、すぐに受診するようにしましょう。

バルーン拡張

ステント留置

日常生活で気を付けること

この病気では禁煙が必須です。たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があります。また普段からよく歩く、足を清潔に温かく保つなども大切です。
そして何よりも大切なことはこの病気を疑うことです。足のしびれや痛みを感じた時には早めに受診をして検査をうけるようにしましょう。

不整脈

心臓の脈拍数は常に一定というわけではありません。安静にしている時やリラックスしている時は緩やかになり、運動している時やストレスを感じている時は速くなります。この脈拍の緩急は自律神経によって調節されています。
しかし、運動やストレスなどの要因がないにもかかわらず、脈拍が速くなったり、遅くなったり、または不規則になったりすることがあり、これらの状態を不整脈と呼びます。不整脈には動悸などの胸部症状を伴うものもあれば、無自覚のものもあります。また、一定時間持続するものと単発で起こるもの(期外収縮と呼ばれます)があります。

不整脈には大きく分けて、上室性と心室性があります。
心臓は血液を全身に循環させるポンプとして働いていますが、その機能の大半を心室が担っています。
心室性の不整脈により心室の働きが低下すると、心臓が血液ポンプとしての働きを果たせなくなる可能性があることから、一定時間以上持続する心室性不整脈は致死性不整脈とも呼ばれています。

一方で上室性(=心房性)不整脈は、命に直結する不整脈ではないものの、心房における血液の淀みの原因となり、心房内で血栓が作られる危険性が高まることがあります。この場合、脳梗塞などの塞栓症予防の目的で、抗凝固薬(血液が固まりにくくする薬剤)の内服を要することもあります。

高頻度または長時間の動悸症状を自覚する場合は、24時間装着型心電図検査(Holter 心電図)で不整脈の有無や種類を確認することをお勧めします。

上室性期外収縮

心室性期外収縮

弁膜症

心臓の中には4種類の弁が存在します。これらの弁は膜で造られており、血液の圧がかかることにより開放され、圧がかからなくなると閉鎖します。弁の働きとして最も重要な働きは、血液を一方向に流し、逆流させないことです。
弁膜症は、弁を造っている膜の変性により血液の通りが悪くなったり(弁狭窄)、血液が逆流したり(弁逆流 / 閉鎖不全)する病気です。
弁狭窄や弁逆流により心臓内の血液の流れが滞ることで、重症の場合は、息切れや体のむくみ、倦怠感や失神など様々な心不全症状が引き起こされる可能性があります。

弁膜症は、聴診時の心雑音聴取をきっかけとして診断に至ることが多く、確定診断は心エコー図検査で行います。心エコー図検査により、「どの弁の弁膜症か?」「どの程度の重症度の弁膜症か?」などを細かく診断することができます。

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